ケモミミキャラの4つ耳問題とウマ娘の髪モデルの話
私が YouTube や VRChat で用いているアバター(積極的に主張していないので言うことが少ないんですが、名前は「猫嶺てと」といいます)。こちら、VRoid の素体に Blender で制作した衣装を着せて作っています。
上の写真ではサイバーパンクなデザインとなっていますが、基本的にはケモミミっ子としてデザインをしています。
ところで、VRoid の素体においてはデフォルトで人の耳も備わっていますよね。ケモミミっ子にする場合、ただケモミミをつけるだけではケモミミと人耳の4つ耳状態となりますが、このモデルでは耳の大きさを決めるパラメータを無理やりいじって、耳をなくしています。
人耳をつぶした理由は「普通生き物の耳は2つなのに、4つあったらおかしいでしょ」という生物学的?なものだったのですが、実際に人耳をつぶして髪型を考えたり、実際に作ったりするのは、今振り返ると結構難しかったな~と感じています。
というのも、先ほどの絵を見てもわかる通り、耳の形が無い状態ってどうしても違和感ができてしまって、髪で覆っても、ボリュームが薄いと「そこにあるはずの耳の形が無い」のがわかってしまい、違和感を拭いきることができません。
私は髪のボリューム感を作るのがとにかく苦手なので、サイドヘアの調整は髪型を作るうえで一番時間がかかった場所だったなと思います。
さて、最近 X*1 でもまともに息をしていない私が、今になっていきなりこんなことをブログ記事に書こうと思ったのは、最近遊んでいるゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」のキャラクター3Dモデルが、人耳の無い状態の違和感を解決する、あるいはうまいこと誤魔化す工夫がされているな~、という気づきを得たためです。
この記事では、私がウマ娘を通して気づいた、ケモミミキャラが人耳とケモミミの合計4つの耳が生えてしまう問題(以降、4つ耳問題と呼称)を、人耳を削ることで対応する際の3Dモデルにおける工夫のお話を書こうと思います。
諸注意:
執筆者はウマ娘をはじめて1ヵ月も経たないニワカかつ、モデリングもアマチュアレベルの人間ですので、勘違い等による事実と異なった内容や、本質とずれた考察をしてしまっている可能性があります。*2
ウマ娘は4つ耳問題をどう解決しているか
書き出しの内容から、ウマ娘を知らない人でも推察できたかと思いますが、この作品においてウマ娘たちには人耳が無いようです。
…「ようです」と、推測形でお話したのは、「人耳が無い」という記述を今のところゲーム内外で見たことがないためです。*3ただ、ウマ娘が電話を取るとき、受話器をウマ耳に当てているキャプチャをどこかで見たことがあり、それでおそらくウマ娘においてはウマ耳は飾りではなく本当に耳としての機能を持っているものなのでしょう、と考えてます。
作品中に登場するウマ娘には人耳が生えていると窺える描写がないのも、この主張を裏付けるひとつです。*4ウマ娘の子たちはゲーム実装済みのネームドキャラはもちろん、メイクデビュー戦などのゲーム内でのレースで一緒に走るモブウマ娘まで、人耳が見える描写が確認出来る限り全くありません。
なので正確には「人耳が生えていない」ではなく、「人耳が生えているかどうかわからない」というべきかもしれませんが、ここではいったん生えていないものという前提で、では人耳が無い状態での 3D モデルをどう違和感なく成り立たせているのか、ということについて、私の考察をつらつらと書いていきます。
ベースヘアーで隠す
ベースヘアー、つまり髪型のモデルを乗せる前のスキンヘッドに生え際などを描きこむテクスチャで、耳の部分を覆ってしまうという方法です。
おそらく、ウマ娘のキャラクターモデルは全員、本来人体なら耳が生えうる場所をベースヘアー、またはそれに相当するオブジェクトで隠していると思われます。髪を結っていて生え際がわかりやすいウマ娘を観察してみると、どの子も人体であれば耳が生えうる場所より前に髪の生え際が描かれているように見えます。
ただ、VRoid では現状、残念ながらデフォルトのベースヘアーテクスチャで耳の位置を覆うことはできないので、 VRoid でこの方法をとるのであれば、頭に沿うように薄い髪パーツを、ベースヘアーテクスチャとの違和感が出ないように配置・描きこむ、となるでしょうか。
前髪で隠す
もちろん、耳のある場所を隠しただけでは、正面から見た顔のシルエットはごまかせませんので、前髪パーツなどを使ってシルエットを隠す必要があります。ウマ娘のキャラクターでは、大きい髪束を作って、正面顔のシルエットを形作っている子が非常に多くいて、これも人耳がないのをごまかす工夫の一つなのかなと感じています。
もちろん見た目の可愛さやキャラクターとしての特徴を意識したキャラクターデザインであり、人耳を隠すという意図で作られたものではないかもしれませんが。
もみあげ(に近い位置の髪)で隠す
前髪を使って隠すことで正面顔をごまかすことはできますが、上記のような大きいシルエットの髪束となると、揺れものボーンが入っていないと不自然になってしまいます。
特にウマ娘はゲーム内で走っている映像を見せることが多いため、当然揺れるようになっている訳ではあるのですが、折角隠した耳元が揺れによって見えてしまうことになります。
私はウマ娘の前髪の裏がどうなっているのかと、レースやウイニングライブのリプレイを確認するという謎の時間を3日間ぐらいやっていたのですが、一つの気づきとして、もみあげに近い位置に小さい髪束が隠されているのを発見しました。
髪束が小さいので揺れなくてもそんなに違和感ないですし、多少角度がずれたりしても違和感を起こすことにはならなそうです。この髪束が 3D モデルにおける人耳最終防衛ラインなのかもしれません。
カメラワークで隠す
最終的にはカメラワークで、きわどい角度から顔を映すようなことがされないようになっているように見えました。
これも、可愛く見える角度で見せるべきというのが主で、人耳を隠すというのが目的になっているわけではないかもしれません。むしろ、ウイニングライブ映像のカメラやカット割りはそんなの気にせず作っていて、危なそうなところがもしあれば数か所くらい手を入れたりしている程度なのかも。
まとめ
ここまで書いてみましたが、結局私が壮大な深読みをしているだけで、実際はそこまで大層な工夫をしているわけではないのかもしれません。ですがウマ娘という世界観を違和感なくユーザーが受け入れられるようにするための、些細でもこだわりのある工夫に感じたので、思わずいろいろとしてしまいました。
ウマ娘はキャラクターモデリングもさることながら、キャラクターデザインの細かいところも良さがあり、そして絶対に沼ると思って避けてたのに結局沼ってしまうという育成ゲームとしての楽しさもある良いコンテンツですね。
まだウマ娘に触れたことのない方がもしこの記事を読んで下さっていましたら、是非この機会に触ってみてはいかがでしょうか。こっちの沼はあったけえぞ。